お盆と台風・名前の由来

[風を感じ、ときを想う日記](1202)8/15

お盆と台風・名前の由来

 

 夏場に、ご先祖さまを自宅にお迎えして特別に供養する催事をお盆という。“ぼん”というと、普通は食器や料理を載せるトレイのことをいい、その意味合いはご先祖さまの供養とは相当にかけ離れている。台風だってそうだ。文字とその実態との間に通じるものはなに一つ見いだすことはできない。

 

 そこで、なぜこのような言葉が生まれたのか、暇に任せてじっくりと考えてみることにした。ご先祖さまを供養する場合の盆とは、盂蘭盆会の略である。もとは、仏教の発祥の地である北インド地方の古代語で、サンスクリット語の“ウッランバナ”だったそうだ。それに漢字を当てたのが盂蘭盆会だったようだ。

 

 かたや台風の方だが、その実態からみて大風ならわかるが、台風ではいまひとつピンとこない。どうやら、もとの文字は颱風で、中国では台湾及びその周辺の強風をさしていたようだ。それがいつのまにか台湾の台とも混同されて、簡単な方の台風に一本化されてしまったようだ。

 

 いま、台風7号紀伊半島を北上中で、今日の内にも近畿地方を横断して日本海に達するようだ。日本の大動脈である新幹線などの交通機関は全てストップ、お盆の催事はもとより高校野球の甲子園大会も中止のやむなきに至った。「風の盆恋歌」という小説や歌もあるが、今回の台風はそんなロマンチックなものではなく、お盆の全ての行事を台無しにしてしまったようだ。