世界各国の建国記念日

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[エッセイ 584]

世界各国の建国記念日

 

 2月11日を挟んでの数日間、建国記念日についてずっと考えてきた。例えば、いったいこの「日本」という国は、いつごろどのような形で生まれたのだろう。それがはっきり分かれば、それが起点であり、その時が建国の日になるはずである。しかし、はるか遠い昔のこと、明確な答えなど得られるはずもない。

 

 たぶん、自然発生的に人が住みだし、なんとなくその周りが生活圏というカタチに進化してきたのかもしれない。それが、何千年という時間をかけて国という単位にまで成長してきたのだろう。しかし、そのころの国は極めて幼稚で、それが国家という単位にまで成長するにはさらに長い時間を要したはずである。

 

 そこでまず、国家と建国の概念を確認しておこうと考えた。理屈っぽい話になると収集が付かなくなるので、国語辞典レベルに留めることにした。わが家の辞書には、国家とは「一定の領土を有し、そこに生活する人々に対し排他的な支配を行う統治組織を持っている社会。統治権、領土、人民をその要素とする」。そして、建国とは「国家の基礎を建てること」とあった。

 

 国が国家として一応の体裁を整えたときを建国と考えるなら、相当幅広く考えてみてもいいのではなかろうか。古事記日本書紀などの神話をもとにしても、夢があってかえって面白いかもしれない。それによると、初代天皇とされる神武天皇が即位された日が建国のときだそうだ。いまから2681年前の紀元前660年の旧暦1月1日、いまの暦で2月11日がその日に当たるそうだ。

 

 実は、他もそんなものだろうと思っていたら、大部分が革命記念日独立記念日だった。さいわい、Wikipediaの資料に113カ国のデータがあったのでそのまま利用させてもらうことにした。それによると、独立記念日が76カ国、革命記念日が11カ国で、純粋の建国記念日は日本を含めて10カ国、その他政体改革などで16カ国となっていた。神話をもとにしていたのは、日本のほかには韓国の開天節だけだった。ちなみに、イギリスには建国記念日はないそうだ。

 

 独立記念日では、第二次世界大戦以降が多く、イギリスからの19カ国、フランスからの6カ国、それにソ連解体による10カ国が目につく。そして、1800年代ではスペインからの12カ国が特筆される。こうしてみてくると、世界の大多数、なんと77%の国はつい最近まで他国から侵略されていたか、独裁者から抑圧を受続けていたということになる。

 

 わが国も、侵略のまねごとをしてきた過去をもち、敗戦による米軍の進駐も経験してきた。しかし、なんとか独立独歩を貫いてきた。わが国の建国記念日に、独立や革命あるいは終戦の文字をつけなくてすんだ歴史をあらためて敬いたい。そして、神代の神話を笑顔で語れる幸せをゆっくりとかみしめてみたい。

                      (2021年2月14日 藤原吉弘)