[風を感じ、ときを想う日](955)3/30
静かな桜の名所
東京から遅れることおよそ10日、このあたりにもやっと桜の見ごろが近づいてきた。近隣の花の様子から、大庭城址公園のさくらもそろそろそんな時期に来ているのではなかろうか。もちろん、その手前の引地川親水公園にも立派な桜並木はあるが、こちらはまだ数日は先になるはずである。
雪まで連れてきた昨日の寒さもやっと峠を越えた。そうはいっても、今日は終日曇りらしい。おまけに暖かさもそれほど戻ってはいない。桜見物には、日射しが期待される明日の方がよさそうだ。しかし、日が変ればまた何が起こるか分からない。とにかく時間のとれるときに行っておくに越したことはない。
大庭城址公園のど真ん中にある大木の桜は、予想どおりほぼ満開に近かった。さすがに見事である。例年なら、その周りの芝生広場では、敷き詰められたシートの上で大勢の人が酒宴を張っているころである。しかし、きょうは親子連れが一組、写真を撮っているだけだった。
実に静かな、寂しすぎる光景である。午前中のまだ早い時間ではあるが、見える範囲を全部合算しても来園者は10人に届かない。明日の好天に期待して、今日は別のことをやっているのだろうか。あるいは、政府や県の要請に従って、外出そのものを諦め、自宅に引きこもっているのだろうか。
三密さえ気をつければ、この見事な桜は見物しておいて損はないはずである。