火災報知器

イメージ 1

[エッセイ 503]
火災報知器

 今日は、とくに予定もないので、年末の大掃除でもしようかと考えていた。しかし、それにはお天気があまり芳しくない。そこで、天候にあまり左右されないレンジフードのクリーニングをすることにした。

 まず、フィルターを外し、流し台のシンクに入れて、専用の洗剤をしっかりと掛けてやった。それをそのまま置いておき、本体の清掃に取りかかった。真下のレンジやその周辺に古新聞を敷き詰め、本体には洗剤をたっぷりと吹きかけてやった。外側はもちろん、ファンなど内部の隅々にまでである。ファンは、本来なら取り外して洗浄したいところが、構造的に難しいのでそれは諦めた。

 本体が一通り終わったところで、最初に取り外したフィルターの洗浄に取りかかった。この部品は、ステンレスのラス網を2枚重ねただけの簡単なものだが、油汚れを取り除くにはきわめて難しい構造になっている。ブラシでこすっても、こびりついて固まった油はなかうまく取り除くことができない。そこで、もう一度洗剤を吹きかけ、しばらく経ってから温水器の熱湯で洗い流すことにした。

 しつこい油汚れは、少しずつ剥がれていった。突然、頭上でピーピーという大きな音が響き、続いて「火事です!火事です!」という激しい音声が流れてきた。見ると、天井の火災報知器からだった。なるほど、部屋には湯気が充満していた。少し慌てたが、とりあえず熱湯の放出を止めた。それでも警報音は鳴り止まない。脚立を持ち出し、報知器から電池を抜き取ろうとしたところでやっと止まった。

 この火災報知器は、2008年に新消防法が施行され、一般家庭でも設置しなければならないことになったとき取り付けたものだ。自治会でまとめて斡旋し、町内で一斉に取り付けた記憶がある。わが家も、各部屋や廊下、あるいは階段の上などに取り付けてもらった。耐用年数は10年くらいと聞いていたので、ぼつぼつ取り替えの時期にきているはずだと思っていた矢先である。

 いい機会だと思い、火災報知器のことをネットで調べてみた。感知方式は、熱、紫外線、赤外線、一酸化炭素などさまざまである。電源は電灯線からと電池があった。警報方式も音、光、に加えて臭いもある。値段もピンからキリまであった。

 それにしても、わが家の報知器がちゃんと作動したことにはある面驚きである。消火器もそうだが、購入以来それが本当に作動するか試してみたことはない。火災報知器なら熱いものを近づけて見るなどそれなりの方法はあるが、消火器は試してみたらそれで終わりになってしまう。メーカーを信用するしかないというだけでは、不安はぬぐい去ることができない。

 このような機械装置について、設置後正常に作動するかどうかのチェックや、有効期限の警告などもっと簡便でうまい方法はないものだろうか。
(2018年12月23日)