湯水混合栓のトラブル

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[エッセイ 264](新作)
湯水混合栓のトラブル

 台所の湯水混合栓がきちんと閉まらなくなった。水滴がポタポタと落ちている。しかし、わが家の水栓は、湯と水が別々のバルブになっているので、パッキンさえ取り換えれば簡単に直すことができる。今回は、給水側に問題がありそうだ。さっそく買い置きの新しいパッキンと交換したが、水滴は止まらなかった。よく見ると、バルブのねじ山がかなり損耗していた。

 本体を取り換えるのは初めての経験であるが、できれば自分でやってみたいと思い近くのDYIを覗いてみた。いろんな種類の水栓が並べられていた。今度は、少し格好のいいワンレバー式にしてみることにした。

 水道と給湯器の元栓を締め、取り替え作業にかかった。最初に、土台になるクランクという部品を配管に取り付けた。出来上がると湯水両方でハの字型になる。給湯側が少し歪んでいたのでグッと力を入れてまっすぐに直し、水栓本体を取り付けた。きれいに仕上がり、家内も気に入ってくれた。

 元栓をあけテスト通水をした。ゴーと水が勢いよく流れる音がする。メーターを見るとすごい勢いで回転していた。すぐに元栓を締め、台所に飛んで行った。あたりは水浸し、いや湯浸しになり湯気がもうもうと立ち上っていた。

 これはただ事ではなさそうだ。運よく設備屋はすぐ来てくれた。これはひどい、給湯側のパイプがねじ切れていますよ。なるほど、給湯側パイプは銅製で、軟らかく手で簡単に捻じ曲げることができる。古いクランクを外すとき左に思い切り回した。新しいのを取り付けるとき、今度は右に力を入れて締め付けた。

 傘の骨などもそうだが、パイプ状あるいはU字型の金属を曲った反対側に曲げ戻すと簡単に折れてしまう。給水側のように鉄管であればそのような心配はないが、細い銅管なら私の力でも簡単にそうなってしまう。プロでもたまにやりますよと慰めてくれたが、要するに無知と不注意が招いた結果である。

 「これは、パイプを屋外に這わせて水栓の真後ろから繋ぐか、あるいは部屋の隅を通して水栓のところへ立ち上げるか、いずれにしても新たな露出配管にせざるをえないですね」「そんな格好の悪い方法は嫌だ。この流し台は動かせるはずだから、その後ろ側で繋げるよう工夫してくださいよ」。

 翌朝、出直してきた設備屋と、その案ですぐ作業に取りかかった。流し台は簡単に動かせた。パイプは不燃ボードを隔てたすぐ向こう側にあった。そこを30センチ四方に切り開き作業用の窓を作った。折れたパイプに新しいものを継ぎ足し、給湯側のパイプを復元させることに成功した。
 
 30分後、何事もなかったように、新しいシングルレバー式の湯水混合栓が台所の真ん中で輝いていた。後は、設備屋に払う費用の問題だけである。
(2009年12月18日)