十二月の風

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[風を感じ、ときを想う日記](937)12/12

十二月の風


 今月の「ゆうゆう通信」には、巻頭の挨拶として次のような小文を載せた。


 ・・・暮れが近づくと、大掃除が日程に上り、障子の張り替えも考えなければならないことになります。・・古い紙を剥がし、桟の汚れやアクをきれいに落とす。小麦粉をうすく溶いて煮詰めた糊を刷毛で桟に塗る。一尺×三尺の紙を下から上へと順に貼っていく。・・


 つい、こんな手順を思い起こしてしまいますが、いまではもう少し簡単になりました。ガイドの付いた糊や両面テープ、さらにはアイロンで貼り付ける方法まで現われてきました。紙も巻紙となり、ロール状のものを伸ばすだけで一気に貼ることができます。


 いまは、障子のあるお宅も少なくなってきましたが、張り替えた後のあの爽快感はまた格別です。柔らかい光の中で迎える新年は、以前にも増して素晴らしい年になるはずです。・・・


 この記事は、11月21日付で書いた「障子の張り替え」の実体験と重なる。


 あれ以降、いま放送されている朝ドラの、主人公の実家の障子が余計気になるようになった。全体が茶色く変色し、つぎはぎした部分が白くまだらに浮き出して見える。子供の頃の実家の情景とも重なるが、あれほどみすぼらしくはなかったように思う。このシーン一つを見ても、時代の変遷を実感させられる。