水道の水漏れ②

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[エッセイ 533]
水道の水漏れ②

 

 水道の検針に来た係員から、お宅の水道は水漏れしているみたいですといわれた。確かに、その請求金額がそれを如実に証明していた。自身でも確認してみたが、いわれるとおりメーターは空回りしていた。前回の、6・7月分の上下水道料金は9,920円だったが、今回の8・9月分は25,090円に達していた。実は、わずか1年半前に、同じトラブルで修理したばかりだった。


 さっそく、近所の設備工事屋に電話をした。いま混み合っていまして、お伺いできるのは2週間後の10月に入ってからになる見込みですという返事だった。遠方の、他の業者も当たってみたが、返事は同じようなものだった。どうせ待たされるなら、近所の知り合いの方がいい。なにかと都合はいいし、なにより信頼がもてる。仕方なく、漏れたままその日を待つことにした。


 それまでに、自身でもモニター用のコマが空回りしていることを再確認した。水道管の通っているあたりをチェックしてまわったが、水が浸み出しているところを見つけ出すことはできなかった。床の下など、見えない場所がそんな状態になっていたら、発見はもとより修理作業も大変なことになる。心配もし、多少いらいらもしながら業者が来てくれるのを待った。


 約束の日、前回と同じ担当者が顔を出してくれた。顔見知りというだけで、いままで心配していたことが嘘のように消えていった。さっそく、その人と一緒にメーターボックスの蓋を開けてみた。あれ?この中はずいぶん水がしみ出しているネ。なんでいままで気がつかなかったのだろう。モニター用のコマの動きにばかり気を取られ、肝心なことを見逃していたようだ。


 担当者は、さっそく聴診器でチェックを始めた。たしかに、このそばからは漏れていますね。ほかも当たってみましょう。家の周りをくまなくチェックしてみたが、どこも不審なところはないという。さっそく、メーターボックス脇の漏水箇所に絞って修復工事にあたることになった。ただ、そのあたりはコンクリートで固められている。その削り工事から始めることになった。


 漏水箇所は、屋外散水栓のつけ根部分だった。複雑に入り組んだ配管をシンプルな形にやり直し、散水栓は別の場所に設置しなおすことになった。モニター用のコマの動きはぴたりと止まった。どうやらこれで一件落着のようだ。


 一週間後、修理代の請求書が届いた。今度はその金額の多寡に驚いた。前回の1.5倍を超えていた。たしかに、前回は土の部分を掘り返して修理するだけだったが、今回はコンクリートの削りと埋め戻しという面倒な作業を伴っていた。おまけに、消費税は10%に上がっていた。それでも、これで安心して水を使うことができる。上下水道料金も、検針時の半額程度に書き換えられていた。
                        (2019年10月16日 藤原吉弘)