慢性・突発性難聴治る

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[エッセイ 436]
慢性・突発性難聴治る

 昨年は、長い間あのいやな耳鳴りに悩まされ続けた。四六時中、耳の中で「ウィーン」という音が響き、その雑音と相まって聴力はぐんと落ちた。いつもは数日間で回復していたが、今度はとうとう慢性化してしまったようだ。

 昨年4月3日、朝起きると左耳に異常を感じた。すぐ、いつもの耳鼻咽喉科に駆け込んだ。例によって、イソバイドなど3種類の薬を処方された。今度も数日で治るだろうと考えていた。しかし、3日経っても、1週間たっても治る気配はまったくなかった。それでも、辛抱強くそのクリニックに通った。

 5月の終わりごろだった。医師からセカンドオピニオンを紹介するといわれた。この病気の特性から、それをいわれるということは、「もう、見放した」といわれたのと同じことだろうと悟った。最初の2~3日が勝負といわれているというのに、まもなく2カ月が経とうとしていたのだから。

 発症からちょうど2カ月後の6月5日、別の耳鼻咽喉科を訪ねた。医師にいままでの経緯を説明し、「どうしてもあきらめたくない!」と強い調子で訴えた。ただ、治療は今までと同じ薬を服用し続けるしかないといわれた。私は、副作用さえ心配なければぜひそうしたいと応じた。

 かくして、それからも延々と同じ薬を飲み続けることになった。さらに、2カ月が経ち3カ月が過ぎていった。しかし、耳鳴りは一向に改善の兆しを見せなかった。通算7カ月半が過ぎた11月20日、医師から薬を変えてみましょうと漢方薬を提案された。

 12月20日、漢方に変えても一向に効き目がないので、また元の薬に戻すことにした。それから1週間、急に耳鳴りが小さくなった。そのうち、それとは気づかないほどに治まってきた。やはり漢方がよかったのだろうか、それとも、サンタさんがクリスマスプレゼントをくれたのだろうか。

 新年を迎え、さらには門松が取れるころになっても耳の状態は安定していた。再発を極度に恐れていたが、そのうちそんな病気にかかっていたことさえ忘れるようになった。もう大丈夫かもしれない。2月中旬、ついに薬の服用をやめた。あれから3週間、トイレで耳を澄ませても雑音は全く響いてこない。

 この病、最初の48時間が勝負といわれている。1カ月経ってもだめなら絶望ともいわれている。一方で、3日目以降の治療法は雑音に慣れることだともいわれている。しかし、同じ薬を飲み続け、現実に治った患者がここにいる。まさか、神仏のおかげだったとか、根性で治したなどとはいえないが・・。

 もしこの病気で苦しんでおられる方がいたら、この経験を参考にされ、ぜひ希望を捨てないでいただきたい。
(2016年3月10日)