白から紫へ

イメージ 1

イメージ 2

[風を感じ、ときを想う日記](686)3/28
白から紫へ

 ハクモクレンが見事に咲いた。ハスの形をしたあの白い大きな花びらが、春の明るい日差しにきらめいている。実にきれいだ!そう思って眺めているうちに、その盛りはあっという間に過ぎ去っていった。足元には、茶色く変色した大きな花弁が無造作に散らばっている。なにか汚ささえ感じさせる。

 花の、ピークに達するまでの息を飲むような美しさと、それが過ぎ去った後の無残な姿は、比較しようもないほどの落差を感じさせる。盛りが見事であればあるほど、その後のみじめな姿は見る人にとっては大きな落胆となる。

 あの大きな花びらに続いて、やや小ぶりなコブシが登場する。そしてそれを追いかけるように一週遅れで紫色のシモクレンが姿を現す。花びらに紫色が混じっている分、白の高貴な印象に比べどこか俗っぽさがつきまとう。高潔と親しみやすさとは相いれないものなのだろうか。

 ピンクの河津桜を愛で、続いて白いハクモクレンを追いかける。そして、紫のシモクレンを探しているうちに、いつしか桜の便りが聞かれるようになる。いろいろな花がつぎつぎと咲いてくれるのはうれしいが、こんなに早く切り替わっていったのでは、追いかける方はとても付いていくことができない。

 百花繚乱も悪くはないが、できることなら、もう少し間隔を置いて、順序良く咲いてくれないものだろうか。