初詣バスツアー

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[エッセイ 413]
初詣バスツアー

 町内の、高齢者グループによる初詣バスツアーは、予定時刻より少し早めに出発した。歳のせいだろうか、なぜかみな朝が早くなる。私が集合場所に着いたのは、定刻より20分も前だったのに、その顔ぶれはあらかた揃っていた。道路事情もよく、横須賀の軍港に着いたのは出港1時間も前だった。

 YOKOSUKA軍港めぐりの観光船は、私たち35人を乗せて11時に汐入港を出港した。左手に海上自衛隊護衛艦が2隻、右手には米軍の潜水艦が3隻停泊していた。その先にも、護衛艦が数隻のんびりと係留されていた。圧巻は、原子力空母、ジョージ・ワシントンの雄姿だった。それにしても、空には雲一つ見当たらない。風もほとんどなく波は静かであった。

 右手半島部分と前方の小さな島が米軍のエリアだそうだ。左手陸地側が我が海上自衛隊のエリアになっている。係留されている艦船の数は予想よりはるかに少ない。5年前、海上自衛隊の観艦式に便乗させてもらったが、そのときに比べると港内は格段に静かである。観光船は、前方の小島を一周して元の桟橋に戻ってきた。45分間のクルーズはあっという間に終わった。

 バスは、三浦半島の背骨部分に戻り、横浜横須賀道路を三崎へとひた走った。もうすでにお昼の時間を過ぎようとしている。そのお待ちかねの昼食は、油壺に隣接する民宿の宴会場だった。そこには「マグロづくし」のフルコースが待っていた。刺身はもとより、かま、心臓、胃袋、などなど、マグロのすべての部位が味わえる珍しい献立だった。

 バスは、城ケ島を望む三崎港へとやってきた。お目当ての海産物市場では、思いおもいに買い物をした。岸壁の近くでドン、ドンという大きな音が響いていた。仲間の一人が様子を見に行った。マグロの陸揚げ作業の真っ最中だった。10匹あまりのマグロの束が、クレーンに吊るされて船倉からトラックへと積み変えられていく。まさに三崎ならではの豪快な光景であった。

 バスは、最後の目的地、海南神社へと向かった。神社は、小高くなったところに、正面に港を見下ろすように鎮座していた。この神社は三浦七福神の一つで、古い歴史があるという。境内には、源頼朝が手植えをしたとされる樹齢8百年の銀杏の木があった。枝からたくさんのこぶが垂れ下がり、鍾乳石にも見えるその姿が神社の長い歴史を物語っていた。

 やっと念願かなって、みんなそろって初詣を済ませることができた。これで、この一年、私たちの健康と長寿、そしてみんなの家内安全は約束されたようなものだ。バスは、134号線を我が町へと急いだ。夕日を背にした江の島のシルエットが、私たちの帰りを優しく迎えてくれているようであった。
(2015年1月21日)

(ご参考)
 左上の小窓に「観艦式」と入力し検索してみてください。この横須賀軍港から出かけて行ったその時の体験談をご覧いただけます。