雨戸の錠

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[エッセイ 378]
雨戸の錠

 雨戸の錠がうまく開閉できなくなった。上からボタンを押せば閉まり、横のボタンを押すと開く構造になっている。これらは、バネの力を利用して簡単に操作できるようにしたものだが、その肝心のバネが壊れてしまった。不便な思いをしていたが、最近さらにもう1個別の雨戸がおかしくなった。

 その部品を買い求めようと近所のホームセンターへ行った。もちろん、ビス穴などのピッチが合わないといけないので、雨戸から現品を取り外して持って行った。しかし、その店ではそれらしいものは見つけることが出来なかった。さらにもう1軒、遠方の店にも足を伸ばしてみたが結果は同じだった。

 仕方なく、メーカーに聞いてみることにした。電話に出た社員は、修理業者を差し向けるという。私は、自分で取り換えできるので部品の購入方法を教えてほしいと頼んだ。しかしそれはできないという。そんなバカな!と押し問答になった。結局、社内で相談して、後で連絡してくれることになった。

 1時間後、その上司と思われる男性社員から電話があった。インターネットをお持ちならそれで購入できますという。アドバイスに従い、その場で購入手続きの操作をした。部品は1個1,050円、予備の1個を加え3個を注文した。運賃525円と併せ、3,675円を代金引換で宅配業者に払ってほしいとのことだった。無事発注でき、自動返信で受注完了のメールも届いた。

 注文した部品は3日後に到着した。ちょうど手が開いていたので、すぐ交換作業に入った。ドライバー1本で、所要時間は2個でも5分とかからなかった。こんな簡単な作業なのに、修理業者に来てもらうと、部品代のほかに出張料4,200円と技術料4,200円がかかるはずだった。

 それにしても、最初に電話に出た女子社員の応対はなんだったのだろう。なぜ、部品の販売はせずいきなり修理業者を派遣することになるのだろう。なぜ、インターネットによる部品販売のことを伏せていたのだろう。修理業者育成のための会社の方針なのか、あるいは単に社員の勉強不足なのだろうか。

 最近、この類の電話をすると、「会話を録音する」というメッセージが流されることがある。「言った、いわない」のために必要なことかもしれない。しかし、今回のケースでは、「録音」が過去の苦い経験として生かされているとは思えない。どうみても、自己防衛のため、クレーマー対策としか考えられない。

 ところで、このような簡単な部品は、業界で規格を統一し、小売店で扱えるようにしてはどうだろう。たとえば、ナベブタのツマミは、ちょっとしたお店なら手に入るし、どんな鍋にも合うよう設計されている。名実ともにユーザーの立場に立って、親身になってやってみてはどうだろう。
(2013年9月6日)

写真:取付用の説明図と現品の裏側