藤の簾

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[風を感じ、ときを想う日記](569)4/28
藤の簾

 2年前、このブログに藤のことを書いた。5月9日のことである。「・・その藤に出会った途端、鳥羽一郎さんの名曲『兄弟船』の三番に出てくる“雪の簾”を連想した。棚にぶら下がった藤の花は、房ではなく吊るし雛のような格好をしている。日当たりの関係だろうか、茎は縦方向にだけ長く伸びたようだ。その茎が簾のように、反対側が見通せないほど密集している。・・」

 今年は、あのとき以上に“藤の簾”が密集していた。日射しが遮られた棚の下は、やや薄暗く荘厳な雰囲気さえ漂わせている。実は、昨年もこのお宅の庭にお邪魔した。藤の花は、できはあまりよくなく、おまけに少々盛りを過ぎていた。そんなことから、昨年はこのブログにはなにも記録していない。その点、今年はできもよく時期も10日ばかり早まっている。

 先日、ある会合の席で、英国の元首相サッチャーさんの「鉄の女」が話題になった。あのニックネームは「鉄のカーテン」と呼ばれた旧ソ連がお返しに名付けたのだそうだ。そして、その話題の先を手繰っていったら、わが国皇室の「菊のカーテン」が現れた。後の二者はマイナスイメージの強いネーミングだが、「藤の簾」からは情緒豊かな清々しい雰囲気が伝わってくる。

 そのお宅では、年々大変な苦労をして藤棚を維持されているはずだが、なんの見返りも求めず今年も私たちを温かく迎えてくれた。

写真:先日別の場所で撮った藤の花。
   藤棚の写真は、画素数がいずれも1MBを超えているため掲載不可。