親友の旅立ち

イメージ 1

[風を感じ、ときを想う日記](506)4/27
親友の旅立ち

 がんを発病したのはもう3年以上も前になる。それでも、一旦はすっかり元気になりリハビリに精を出していた。一昨年秋には、建設中のスカイツリーを一緒に見に行ったりもした。しかし、結果的には、家族の願いもかなわずとうとう帰らぬ人となってしまった。

 彼は、大学に入学したとき、最初に友達づきあいを始めたうちの一人だった。卒業間近の冬休みには、はるばる実家まで遊びに来てくれた。両親も、いい友達だといって大いに歓迎してくれた。このときは、両親を含む4人で松山まで一泊旅行にも出かけた。実家で挙げた私の結婚式のときも、そして父の葬儀のときにも、多忙な時間を割いてわざわざ片田舎まで来てくれた。

 日本人離れした美男子で、背は175センチの長身だった。気持ちの穏やかな人で、他人と争ったことなど一度も見たことがない。欠点といえば、そのように自己をあまり強く主張しないところかもしれない。しかし、それでいて自身の確かな思想信条をもち、泰然自若としてそれを守り通した。

 彼は世情に通じ、政治はもとより芸能、スポーツまで、それも表から裏まで実によく知っていた。酒を好み、その幅広い話題に花を咲かせた。スポーツ観戦にもよく出かけたが、自身のプレーにはあまり興味がなかったようだ。

 そんな彼が、友達を置いて先に旅立ってしまった。