季節のかおり

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[風を感じ、ときを想う日記](463)10/5
季節のかおり

 散歩中、そのかすかなかおりにふと足を止め、どこだろうと振り返る。その存在を確かめると、また安心して歩き出す。あの、黄色い小さな花の群れは、芳香を伴って葉っぱの茂みから突然現れる。

 二日、三日と日が経つにつれ、かおりは街中に満ちみちて立ち止まるチャンスを奪ってしまう。サクラは開花によってその数の多さをアピールするが、キンモクセイはヒトの鼻孔をくすぐって存在感を高めようとする。

 それにしてもいいかおりである。キンモクセイを漢字で表すと金木犀と書く。幹の表面がサイ(犀)の肌に似ていることからそう呼ばれるらしい。あのふくよかなかおりに比べると、なんとも夢のない発想ではないか。

 しばらく秋らしい好天が続き、キンモクセイのかおりは十分に堪能できた。今年は台風15号に痛めつけられて、その開花を半分あきらめていただけに、お得感はなおさらである。

 その秋の好天も曲がり角を迎えたようだ。朝方から降り出した冷たい雨は、明日まで止みそうにないという。せっかく楽しみにしていたグラウンド・ゴルフも、早々にあきらめざるをえなかった。

 私たちを楽しませてくれたキンモクセイは、秋雨とともにまた元の目立たない存在へと帰っていくのだろう。