私の花粉症

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[エッセイ 302]
私の花粉症

 春風とともに、今年も花粉症のシーズンがやってきた。報道では、今年のスギ花粉は昨年の10倍近くの量に達するだろうといわれている。私にもその気はあるが比較的軽かったので、半ばひとごとのように思ってきた。ところが今年はさすがに心配で、2月初めからクラリチンという錠剤の服用を始めた。

 2月最終の金曜日のこと、この日は英会話教室が予定されていた。風が強くなるかもしれないという予報もあったが、いつもどおり約70分をかけて教室までを徒歩で往復した。春一番が吹き荒れる中での、久しぶりのまとまったウォーキングとなった。

 その夜、目に異変が起きた。どうやら、南風に乗ってやってきた大量の花粉を、思いきり体内に取り込んでしまったらしい。目が痒い、涙が出る、そして鼻は流れたり詰まったりと忙しい。典型的な花粉症の症状である。以降、絶え間なく襲ってくるその症状にいまも悩まされ続けている。

 発症から9日目、この日、箱根のホームコースで月例のゴルフコンペが予定されていた。2月初めに参加して以来なので、また行きたいという気持ちが強かった。花粉症が気がかりでかなり迷ったが、快晴で温かくなるという天気予報に誘われて結局参加することにした。

 1カ月ぶりというのに、体はいたってしなやか、ショットの切れも悪くなかった。雪化粧した富士山が白く輝いて見える。気分は最高だった。ただ、周辺のスギ林からは黄色い粉が盛んに飛散していた。霧がかかったようにさえ見える。いやな予感はしたが、体調に目立った変化はみられなかった。

 自宅に帰って、さっそくビールを開けた。のど越しが至福のときを演出する。今日一日楽しくプレーできた。おまけにスコアもそこそこのレベルにまとまった。ビールの酔いとともに満足感が全身にしみわたっていった。

 そのあたりから体調に異変が感じられるようになった。目が異常にかゆい。次から次へと涙が溢れだす。鼻水が垂れてきたかと思ったら今度は詰まって息苦しくなる。早々に床に就いたが症状は一晩中続いた。そういえば、今日一日無茶なことをしたものだ。ゴーグルはもちろんマスクさえつけていなかった。まるで、重装備の敵陣に、裸のまま日本刀で切り込んでいったようなものだ。

 悶々とした夜がやっと明けた。気がついてみると少しだけ楽になっていた。あれから5日が過ぎた。次の日曜日には嵩山会が予定されている。組合せ票も手元に届いた。いま、参加するや否やの迷いの森をさまよっている。

 冬は寒さで怪我が心配、夏は熱中症で命さえ危ない、春は花粉症で苦しむとなれば、屋外スポーツなんかいったいいつやればいいのだろう。
(2011年3月10日)