初冬の花火

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[風を感じ、ときを想う日記](404)11/28
冬の花火

 例年なら、8月の初旬に行われる江の島の花火大会が、今年は3カ月半も遅れてやっと昨夜行われた。市制70周年の、各種記念行事のやりくりからこの時期にずれ込んだものだ。しかし、さすがに夜気は冷たく、海風にさらされる海岸まで出かける気にはなれなかった。

 夕食時、すぐ近くからドーンという音が続けざまに伝わってきた。江の島まで5~6キロはあるので、花火がこんな近くに聞こえるわけはない。会場を変えたのか、あるいは別のグループが近所でやっているのだろうか。食事も気もそぞろになってきた。

 外は小雨がパラついていた。花火はいつものところで打ち上げられているのだろうか。確かめようとしたが、江の島の方角には小高い丘が邪魔をしている。そのとき、丘の向こうに広がる雲がぱっと明るく光った。白い輝きは次から次へと現れた。音も、間をおいてその方向から伝わってくる。

 やっと理解できた。雲が低く垂れこめているため、音は上空に拡散せず地上と雲の間をあまり衰えることなく抜けてきているらしい。下腹に伝わるその振動が、私の中に眠っているなにかを揺り動かしている。
そのときになって、ちょっぴり悔恨の念が頭をもたげてきた。来年はぜひ、真夏の花火に足を運ぼう。