侵犯問題・Ⅱ

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[風を感じ、ときを想う日記](389)10/2
侵犯問題・

 韓国・ソウル市街のド真中に、南山(ナムサン)という海抜262メートルの美しい山がある。頂上にはテレビ塔も建てられており、ソウル全体が見渡せる眺望に優れた観光名所である。そこを訪れたのはもう12年も前になる。

 そのとき携帯していたガイドブックにこんな注意が書かれていた。「韓国はいまも準戦時体制だ。写真撮影禁止という場所もいくつかある。・・気をつけたいのは、市内のホテルから大統領官邸のある方向にカメラを向けること・・」。南山の頂上でカメラを取りだしたとき、フトそのことが頭をよぎった。

 あたりを見回すと、広場のはずれに交番があった。お巡りさんがいたので、カメラを掲げ、手振りで写真を撮ってもいいかと聞いてみた。通じたのか通じなかったのかよくわからないが、結局そのお巡りさんはソウルタワーをバックに私たち夫婦をそのカメラで撮影してくれた。

 外国に行ったら、私のようなごく普通の観光客でさえそうしたことに神経を使うのに、先般中国の石家荘市で捕まった4人はなんという無神経さであろう。もともと十分すぎるほど気を使わなければならない国柄なのに、まして領海侵犯問題で日中間が極度の緊張状態にあるときに、である。

 ともかく3人が解放されてほっとした。あとは、残る1人が無事に解放されることを祈るばかりだ。