酔芙蓉と二百十日

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[風を感じ、ときを想う日記](381)9/1
酔芙蓉と二百十日

 ご近所の、まだそんなに古くない住宅が解体された。建物だけでなく、庭もすっかり掘り返され更地にされてしまった。このお宅には立派な酔芙蓉があり今年もその花を楽しみにしていたが、開花直前になって掘り起こされどこかへ捨てられてしまった。

 ただの芙蓉だと思っていたのが、実は酔芙蓉であると認識させられたあのお宅の花である。政権交代のあった昨年8月末の選挙のとき、朝早く投票所に向かう途上であった。二百十日の直前だったので、八尾の風の盆を連想し、小説「風の盆恋歌」を肴にエッセイを書いた思い出の花である。
 
 あれから丸一年、今年も風の二百十日がやってきた。楽しみにしていた酔芙蓉はそこになく、あのときさっそうと登場した総理大臣もとっくに辞めていない。まだ一年しか経っていないのに、政治の様相も近所の風景も、人々を落胆させる方向に一変してしまった。
 
 今日9月1日は二百十日にあたり、古くから台風襲来の確率が最も高い日とされている。なるほど、日本の南海上には台風6、7、8号の3つが北上の順番を譲り合っている。今日は、関東大震災の教訓を生かす防災の日でもある。
 
 地震や台風やそして猛暑のない、政治のきちんと機能する日本は夢でしかないのだろうか。そんな夢の楽園で、ゆっくりと酔芙蓉など愛でてみたいものだ。