日食

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[風を感じ、ときを想う日記[(285)7/23
日食

 「これから新幹線で高崎まで行けば、日食に間に合うかもしれない」「私は行かないわよ」「ジョウダンだよ!」。朝食のとき、天気予報を見ながら交わした夫婦の会話である。

 この日、関東のお天気は曇り時々雨と予報されていたが、前橋周辺だけは午前中晴れ間が出るというご託宣であった。わが家の周辺では結局お目にかかれないままで、その気配さえはっきりとは感じ取ることができなかった。

 一番気の毒だったのは悪石島である。何カ月も前から島民総出で準備をすすめてきた。マニアたちも何日も前から島にやってきて、不便な生活をしのぎながらその時を待った。そして、その日は朝から曇り、その瞬間は嵐になった。

 一番ラッキーだったのは、豪華客船で硫黄島近海まで出かけて行った500を超す人たちである。乗客たちは見事な天体ショーに大喜びしていた。もちろん、その中継をテレビで見ていた私たちもそれにあやかることができた。

 不気味な真黒い太陽、周りで輝く白いコロナ。過去何度も目にしてきた映像であるが、生中継ではその感動も比較にならないほど大きかった。テレビ桟敷では人生観が変わるまでには至らなかったが、あと50億年は燃え続けられるという太陽の圧倒的な存在を実感させられた瞬間であった。