牡丹園

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[風を感じ、ときを想う日記](266)4/25
牡丹園

 いま、わが家の床の間にはボタンの掛け軸がかかっている。濃いオレンジ色の大輪が二つ、その傍らにつがいの白い鳩が描かれている。北京旅行の折、お土産に買ってきた代物である。テレビの鑑定団に出せばぼろくそにいわれそうだが、それでも私にとっては思い出の詰まった大切な逸品である。

 その絵を眺めているうちに、急に実物を見たくなった。そういえば、シーズンもぼつぼつ終わりに近いのではなかろうか。そう思い立ち、急ぎ大船植物園に出かけてみた。ここには、120種、230株のボタンが植えられている。

 花の見ごろには十分間に合った。その雅な姿かたち、幾通りもの艶やかな色合い、凛とした風格のあるたたずまい、どれをとってもさすが花の王様だけのことはある。見る人に深い感動を与えずにはおかない。カメラを構えた人も、シャッターを忘れ、ただ見とれているばかりであった。

 実は、ここを訪れたのは一昨日のこと、すぐにもその感動をまとめておこうと思ったが、新たな雑用が次々と現れた。要領よくやればなんでもないはずなのに、すっかりスローペースになって時間ばかりかかってしまった。

 きれいな花をたっぷりと観賞して、心にゆとりが出てきたせいだろうか。