吾妻橋あたり

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[風を感じ、ときを想う日記](257)3/22
吾妻橋あたり

 三連休の2日目、街は春のうららかな陽気に包まれていた。雷門の前は、人力車の客引きと記念撮影をする人たちでごった返していた。その間をかき分けて仲見世通りに入ると、まるで人の豪水のような混雑ぶりであった。

 浅草寺の参拝にこだわる必要はない。Uターンして松屋デパートの地階へと向かった。昔ながらの雰囲気をとどめるその売場でイチゴのパックを買い求めた。外に出ると、これから渡ろうとしている吾妻橋の赤い欄干が目に入った。

 学生時代からの友人が体調を崩して療養を続けていたが、めでたく快癒してその前日自宅に帰ってきたばかりである。この日、お祝いのためにさっそく自宅へ伺うことにした。友人宅は、両国駅から国技館の前を抜けて北の方向に徒歩で10分ばかりのところにある。

 手土産に、なにか気のきいた果物でもと思っていたが、両国駅周辺にはそれに応えられるようなお店の記憶はない。そうだ、ついでだから“春のうららの隅田川”の様子など見てこよう。こうして、何十年ぶりかで松屋デパートで買い物をし、吾妻橋を渡ってみることにしたわけである。

 橋の上流、両岸に開ける隅田公園には、まだ桜が開花した様子はみられない。友人宅は、ぶらぶら歩いても20分もかからないはずである。花より友人、花は友だちの元気な顔を確かめてからでもゆっくり楽しめばいい。