親友とゴルフ

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[エッセイ 230](新作)
親友とゴルフ

 この関東地方には、いまも親しく付き合っている高校時代からの友人が何人かいる。そのうちの一人に、大変面倒見のいい現役の実業家がいる。もちろん人徳があってのことであるが、彼はいろいろな会の会長や幹事長をいくつも引き受けている。

 彼が切り盛りしている会の中に、高校同窓生のゴルフ会がある。毎月第2日曜日には、都内のゴルフ場に20人ばかりが集まって親睦を深めている。私も、懐具合が許すかぎり参加させてもらっている。その彼は、ゴルフのレベルも私といい勝負である。機会さえあれば、直接対決して腕を競いたいと思っているが、他の人の手前もあって一緒にプレーする機会は意外と少ない。

 そんな折、真夏は暑さを避けて涼しいところでプレーしようという話が持ち上がった。昨年の8月下旬、私たちは山中湖のある保養所に宿をとった。翌日のコンペでは、久しぶりに同じ組で腕比べする話もまとまっていた。しかし、前日からの豪雨は、当日になると雷を伴ってさらに激しくなると予報されていた。私たちは早々に中止を決め、落胆のうちに家路についた。

 その翌々月、意外にも早く一緒にラウンドできるチャンスがやってきた。別のコンペではあるが、やはり同郷出身者の集まりである。幹事の好意で、彼とは同じ組になるよう配慮してくれていた。その日もあいにくのお天気になったが、コンペは大雨の中を強行された。ところが、寒さのせいだろうか彼の足は痙攣を起こし、途中でプレーを中止せざるをえなくなった。

 それからまた2ヵ月が過ぎ、その年最後の恒例コンペを迎えた。ところがこの日もまた雨に見舞われた。おまけに、年末の寒波まで加わっていた。私たちはみな現地に集まっていたが、結局中止を決断せざるをえなかった。用意されていた賞品は生ものだったので、アミダくじで分け合うことにした。

 年明け最初のコンペは成人式の日に予定されていた。幹事である彼は、普段より1組少ない4組・16名分のプレーを予約していた。新年早々であり寒い時節でもあるので、参加者は少ないだろうと判断してのことである。ところが、申込者は彼を含めて17名に達した。

 彼は、当日までには1~2名のキャンセルが出るだろうと考え、ゴルフ場には彼自身を外した16名分の名簿を提出した。1月12日当日、快晴で暖かい穏やかなお天気に恵まれた。ゴルフ場にはその名簿に記載された全員がそろった。彼もゴルフ場まで来たが、結局プレーに加わることはできなかった。

 三度目の正直どころか四度目すら実現しなかった。互いに、同じ組で腕を競いたいと願っているが、そのときになるときまって何かが起きてしまう。
(2009年1月23日)