幸せの黄色い花

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[風を感じ、ときを想う日記](136)1/10
幸せの黄色い花

 うかつにも、テレビニュースで初めて知った。もうロウバイの咲く季節であった。あちこちで黄色い花が咲きだしたと聞き、急いで近所の庭園に出向いてみた。やっぱり咲いていた。去年より一週間早い。それも、一段と華やかな装いである。

 去年は、蝋梅とはよく言ったものだと感心しながらながめた。どう見ても造花にしか見えない。それも実によくできた蝋細工である。レストランのウインドーに飾られた、サンプルの添え物でしかなかった。

 ところが、今年は違う。生き生きとしている。精がある。花に生命が宿っているのがはっきりとみてとれる。花の数も多い。華やかさにおいて昨年に数倍する雰囲気を醸し出していた。

 緑の季節には、ごくありふれた雑木でしかない。おそらく、その存在さえ誰にも気づかれることはないだろう。その貧相な低木が、わずかに残った枯葉を振り払うように、幸せの黄色い花をいっぱいに運んできてくれた。

 帰りかけてふと気がついた。その隣にたたずむ紅梅が、数輪の花をつけていた。格式も、華やかさにおいても、梅には足元にも及ばないはずの蝋梅が、この日ばかりは違っていた。あの貧相な雑木が、梅の古木の前で品格に満ちた銘花に見えた。