ユリカモメ

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[風を感じ、ときを想う日記](131)12/8
ユリカモメ

 小春日和に誘われて、いつもの川まで出かけていった。引地川は透きとおり、川底が驚くほどよく見えた。そういえば、大きな黒い鯉はいくらでもいるが、その子供たちは見たことがない。

 そう思ってよく観ると、小魚がたくさん群れていた。いつも水面が波立っているので、つい見過ごしていたらしい。それにしても少しスマートすぎるようだ。鯉の子供なら、もう少しずんぐりしていてもいいのではなかろうか。
 
 川面には、鴨に混じってユリカモメがたくさん浮んでいた。そういえば、あの小魚たち、ユリカモメに襲われなければいいが。そんな心配をしていた矢先、その白い群が私の方に向かって飛び立ってきた。気がつくと、中年の女性が、すぐ近くでパンの切れ端を空中に投げ上げているところであった。ユリカモメは、ものすごい勢いでそれをキャッチした。

 わたしは、のんびりとその光景をながめていた。その女性は、連れていた小型犬のことはそっちのけで餌やりに夢中になっていた。そこへ中型の犬を連れたおじさんが通りかかった。すると、今まで主人と一緒になってユリカモメに吠え掛かっていた小型犬が、今度はその中型犬に飛びかかっていった。

 小型犬のひもは、いつの間にか主人の手から離れていた。さわぎは、川面から土手の上へと移っていた。