「お久しぶり」

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[風を感じ、ときを想う日記](83)4/6
「お久しぶり」

 お正月以来、久しぶりに実家に帰った。母は近くの福祉施設でお世話になっている。できることなら、もう少し間隔を詰めて帰省するのが孝行であろう。しかし、今回は大阪についでがあった。大阪なら、神戸で療養中の叔母も見舞いたい。ついでとは、中学校のときの同期会を大阪でやるというものであった。

 かくして、ついでをぶらさげて山口、大阪、そして神戸と回ってきた。実家には足かけ4日間滞在した。福祉施設は家から歩いて10分ほどのところなので、午前と午後、1日2回ずつ顔を出した。とりたてて話をすることもないが、顔さえ見せればお互い満足である。

 4日目の朝、郷里に住む同級生たちと貸しきりバスで出発した。途中2箇所で仲間を拾い、一路、山陽自動車道を東に向かった。さくらはどこも見ごろを迎えようとしていた。少し飽きが来たころ、両サイドに岡山の桃の花が連なりだした。さくらの白っぽいピンクと違い、こちらは艶やかな桃色である。

 この日は、前日に続いて寒かった。トイレ休憩にも震える思いをした。車が六甲の裏にかかるころ、とうとうみぞれになってしまった。それでも、順調に走り、会場となる高槻市の摂津峡には3時過ぎには入ることができた。
 
 集まったのは26名、期待よりかなり少ない人数であるがこれくらいの方が実のある話ができる。なにしろ、53年ぶりの人も何人か含まれていたのだから。こうして、長い長い、そして過ぎてみればあっという間の夜が過ぎた。

 「お久しぶり」を重ねて新神戸から上り新幹線に乗り込むころ、陽は西に傾きかけていた。数日前、自宅を出るときすでに見ごろを迎えていた関東のさくらたち、その華やかないでたちのままいまも待っていてくれるだろうか。