[風を感じ、ときを想う日記](34)5/13


 上の歯、それも一番目立つ前から二番目が、両方ともぐらぐらしてきた。噛み切る力が弱まり、西瓜さえ思いきって食いつけなくなってしまった。徐々にではあるが、歯自体も前のほうに押し出され格好も悪くなってきた。
 
 私鉄の最寄駅まで、半径1キロの範囲内に10軒もの歯医者さんがあるが、今までまったくなじみがなかった。現役時代、時間の都合もあって職場の近くで間に合わせていたためである。どこでお世話になるか決断できないまま、結局、電車に乗って知り合いのベテランの先生を訪ねた。
 
 いまにも抜けそうだった右側の1本は、ブリッジによる部分入れ歯にせざるをえなかった。しかし、左側の1本は、樹脂で固定することによって生き返らせることができた。何年持つかはわからないが、見た目も、噛む力も、健康な歯と遜色はない。私の払った総額は、保健のおかげで1万円に満たなかった。

 歯医者さんも、数と質とは別々に考えなければならないようである。