[風を感じ、ときを想う日記](31)5/4
れんげ草
「手に取るな(取らで) やはり野に置け蓮華草」
れんげを見かけるたびにこのフレーズを思い出す。適材適所を端的に表現する言葉として広く使われているが、もとは、滝野瓢水という俳人が、遊女を身請けしようとしている友人をいさめるためにおくった言葉のようだ。れんげは野にあってこそ美しく、遊女は遊女であるからこそ魅力があるのだと。
この時期になると、毎年、近在の農家がれんげ畑を開放してくれる。町内会では、れんげ祭りと称して模擬店まで出し、こぞって自然を楽しむ。お母さんたちは、花をつなげてレイを作り、子供らは薫風に乗せて凧を揚げる。
私も、しばしの間その中に身を置いてみた。目線を下げれば、子供のころの思い出と重なるように、はるか彼方までピンクのじゅうたんが広がっている。
そこで、こんな句が・・
華やぎに 牡丹もしのぐ 野の蓮華