事業仕分け

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[風を感じ、ときを想う日記](315)11/29
事業仕分け

 事業仕分けが終わった。劇場型を試み、国民の関心と期待を集めることに成功した。実にカッコよく、痛快でもあった。

 あのニュースを見ていたら、若いころよく通った東映のチャンバラ映画を思いだした。市川右太衛門北大路欣也の父)演じる早乙女主水之介(さおとめもんどのすけ)が、悪者をバッサバッサと切り捨てていく「旗本退屈男」はいまも強く印象に残っている。

 その早乙女主水之介のおでこには「天下御免の向う傷」と呼ばれる三日月形の刀傷があった。話は少し横道にそれるが、JALが新しいロゴマークを発表したとき、その赤い刀傷がマークの中央を切り裂いているのを見て驚いた。JALの今日の業績不振を予告していたわけでもあるまいが、なにか不吉なものを感ぜずにはいられなかった。

 事業仕分けに話を戻そう。あの作業が、国家予算の仕組みと中身を、部分的にではあるが国民の身近なところに置いた功績は高く評価されていいだろう。しかも、その成果は1兆7千億円近くにも上ったという。

 この作業を、重箱の隅だけでなく、95兆円の本体にまで切り込み、せめて90兆円を切る水準にまで持って行っていたらもっと高い評価を受けたはずである。そこまでいければ、この作業を単なるパフォーマンスと酷評している人たちをも、味方につけることができたはずである。

 長期展望に立ったきちんとした国家戦略があり、それを基軸にした評価基準があったら、もっと納得性のある仕分作業ができたのではなかろうか。事業仕分けに聖域を設けず、与党のマニフェストまでをもこの基準で見直していたら、野党さえとりこむことができたかもしれない。

 仕分人は実に堂々として、情実を挟むこともなくてきぱきと作業を進めていた。できれば、さらなる倫理観と礼節をもって当たれば、もっと好印象を持って迎えられるのではなかろうか。

 来年が楽しみである。