厳冬のゴルフ

[エッセイ 649]

厳冬のゴルフ

 

 昨日、箱根湯本にあるホームコースで、厳冬のゴルフを楽しんだ。同コースのメンバー仲間からお誘いを受けてのことである。冬の間は、ゴルフはお休みしようと思っていたが、せっかくなのでその提案に乗ることにした。受付に顔を出すと、「オープンコンペに参加されるのですよね」と聞かれた。ここまで来て、初めてお誘いの主旨を理解した。この日は、新ペリア方式によるオープンコンペが行われることになっており、私もその参加者の一人に登録されていたのだ。

 

 スタートはINコースからだった。お天気は、寒さと小雨、さらには北向きの強風が吹き荒れていた。自宅を出て以来ずっとそうだったがさらに怪しくなってきた。スタート直後、その小雨は本格的な雨へ、風は強い北風へと急変した。急ぎカッパを着込み、心構えは荒れ模様の中のプレーへと切り替えた。

 

 1番ホールのショットは第1打、第2打ともそれなりの当りだった。そんなにいいはずはないと思いながらも、いい方にぶれるなら結構なことではないかと自分に言い聞かせた。それでも、すぐにボロは出た。2番ホールから4ホール続けてさんざんな結果になった。それでも、6番、7番と少しばかり立ち直ってきた。しかし、8番、9番は結局それなりの成績に終わった。

 

 昼食を取りながら考えてみた。こんなお粗末なスコアは、50年前、初めてコースに出たときよりもっとひどいのではなかろうか。まあ、元気にプレーできるだけましかもしれない。昼食後、空はすっかり晴れ上がり、お日様はきらきらと輝いていた。自身の機嫌も持ち直し、18ホールすべてを廻りきった。

 

 帰り支度を調え、フロントロビーに戻ってくると、もう成績表が掲示されていた。よく見ると、この日のコンペは午前中の成績だけで順位を決めるというものだった。それもOUTスタートとINスタートとは別々になっていた。

 

 われわれはINスタートだったので、参加者53名の一番下から自分の名前を探してみた。ズーッと上に目線を移していくと、やっと見つかった。なんと、上から4番目にあった。4位だった。女子係員に名乗ると、派手なボストンバッグとワインを1本渡された。棚からぼた餅を絵に描いたような結果である。

 

  新ペリア方式とは、18ホールのうちの3分の2を隠しホールとし、その日そこで実際に出たスコアをハンデキャップの元とする方式である。隠しホールで沢山たたき、そうでないホールでは立派なスコアで上がるのがこの方式の理想だが、たいていは実力者が上位にくる。私の実際のスコアは53名中ビリから4番目の49位、ところが新ペリア方式、それも制限無しだったためハンデ控除後のスコアは4位となった。

 

 これほど運が大きく左右されることは珍しいが、私の場合は七福神めぐりの御利益がもろに現われた結果だと確信している。

                      (2023年1月25日 藤原吉弘)