初冬の日射しの輝き

[風を感じ、ときを想う日記](1153)11/26

初冬の日射しの輝き

 

 初冬の日射しはことのほか美しい。強からず弱からず、それでいて他の季節には見られないほど光の透明度は高い。雨が少なく、空気中の湿度が下がっているためであろう。さらには、花の少ない季節なので、空中を漂う花粉などの飛散も抑えられているためかもしれない。そして、台風シーズンも去り、枯れ葉を舞い上げる強風もあまり吹かず、穏やかな日々が続いているためとも考えられる。

 

 枯れ葉といえば、木々の葉が命つきる直前の姿もまた見事である。春の新緑が濃さを増す夏場を過ぎると、その色合いは涼風とともに徐々に秋の色へと変わっていく。その変化の過程も興味深いが、その極まりはさらに美しさを発揮する。イチョウの黄色だったりモミジの紅色だったり、そしてそれらの木々の多様な色が混じり合う自然林のグラデーションだったり・・・。

 

 こうした黄や紅が初冬の穏やかな日射しに輝く様は、この季節でしか味わえない美しさである。そして、もっと素晴らしい色合いは、それらの木々を下から見上げたときである。逆光に透けて見える黄色や紅色の美しさは、陽光に照らされた表の色の何倍、何十倍の美しさがある。それが一色だけでなく、何色も混じり合っているとすれば、それから受ける感動もまた倍加するはずである。

 

 近くには、イチョウやモミジの木もたくさんあるはずだ。初冬の穏やかな日射しのもと、それらのグラデーションをゆっくりと楽しんでみてはどうだろう。